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山中傳奇公式サイト
トークショー

京劇の影響のもと、アクション映画を芸術の域にまで高め、中華圏としては初めてカンヌ国際映画祭での受賞を果たし、世界に知られることとなった伝説の監督・キン・フーが宋時代の古典「西山一窟鬼」を原作とし、妖しと幻想の世界が交錯する美しい武侠ファンタジー劇。中華圏の国では『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(87年)等妖怪ファンタジーものもたくさん映画化されているが、この作品は、それらの先駆けとなった作品。世界遺産に指定されている韓国の宗廟正殿や海印寺などで2年にわたってロケが行われた。この時、同時に『空山霊雨』(79年)も製作されている。キン・フー作品の看板女優・徐楓 (シュー・フォン)、現在は監督としても活躍している張艾嘉(シルヴィア・チャン)、『残酷ドラゴン 竜門の宿』(67年)『侠女』(71年)の石雋(シー・チュン)他、数々の武侠映画で活躍した大御所の田豊(ティエン・フォン)が、薄汚れた下人役で登場している。「風景の余白のとり方やライティングなどたいへん神経質に撮影を進めた」と監督が語り、それに呼応して「風景や空間に焦点を当てるキン・フー監督独特の映像美を存分に堪能できる名作」と称賛されている。2016年ヴェネチア国際映画祭で、完成した4Kデジタル修復・完全全長版『山中傳奇』がワールドプレミア上映され大絶賛を博した。これまで、日本では短縮版が映画祭等で上映されてきたが、今回日本での劇場初公開であり、しかも4Kデジタル修復・完全全長版での上映となる。

独創的な アクションのおもしろさ!!  宇田川幸洋( 映画評論家 )

キン・フー監督には、3時間を超える大作が2本ある。’70年代のはじめに躍り出た『侠女』と、 同じく掉尾を飾る『山中傳奇』であり、ことに『山中傳奇』は最長の一篇である。 宋代の小説をもとにした怪異譚であるが、美しい映像、悠々たるかたりくち、独創的な アクションのおもしろさで、時を忘れ、豊饒なものがたり世界に遊ぶことができる。 シー・チュン(石雋)、シュー・フォン(徐楓)ら常連スターにくわえ、わかき シルヴィア・チャン(張艾嘉)の美しさが光る。

このフィルムには中国哲学のすべてがある!  四方田犬彦( 映画・比較文学研究家 )

鮮やかな原色が蝶のように飛び交う山中、二人の美女が青年僧を誘惑する。 一人は妖艶にして残酷な美女。もう一人は優しさに満ちて、心清らかな美女。 だが仏陀の摂理を前に、いずれもが眼の幻として消えてしまう。 『山中傳奇』によって、武侠片の巨匠キン・フーが、成熟の極みに達した。 文字通り、最高の傑作である。仏教は世の無常を説き、道教は不老長寿を説く。 このフィルムには中国哲学のすべてがある。

“これは古代中国を舞台にした、マジカル・ミステリー・マラソンだ。”  (米・ニューヨーク・タイムス)

“「マトリックス」にも多大な影響を与えた、このマーシャルアーツの古典を見逃すな。”  (米・インディーワイヤー)

“クラシック・ファンタジーの傑作。”  (英・アイリッシュ・ニュース)

監督紹介 Director Introduction

キン・フー(胡金銓)

〈武俠映画を開拓し、武俠映画を極める。〉1932年中国、北京生まれ。単身で香港に渡り、俳優として活躍した後『大地児女』で監督デビュー。続いて武俠映画『大酔俠』(66)を発表。これが武俠ブームを招くほどに成功する。さらに、台湾の新興映画会社に招かれて撮った『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(67)は東南アジア全域で大ヒット、民間映画会社の未発達だった台湾映画産業に活気をもたらし、武俠映画の巨匠としての地位を確立した。やはり台湾で製作した『俠女』二部作は75年のカンヌ映画祭で高等技術委員会グランプリを受賞、欧米世界にもその名を広める。台湾ではこの70年代初頭まで活動。のちに香港に戻って自身のプロダクションを設立し、主に『忠烈図』(75)、『山中傳奇』(79)などの武俠映画を撮り続けるが、80年代後半になると沈黙を保った。やがて『ジョイ・ウォンの魔界伝説』(93)で復帰し、念願の新企画に向けて準備中、1997年1月14日台北市にて65歳で死去。同時代の日本にはほとんど紹介されず、80年代の香港映画ブームの際に発見され、主に映画祭の上映で評価を高めた。アン・リー(李安)監督は『グリーン・デスティニー』(00年)制作において、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督は『黒衣の刺客』(15年)で初めて武侠映画に取り組み、ラストショーを迎えた映画館を舞台に描いたツァイ・ミンリャン(蔡明亮)監督『楽日』(03年)では、文字通りラストショーの作品が『残酷ドラゴン 竜門の宿』で、観客にはシー・チュン(石雋)本人がいるという凝りよう。こうして、それぞれ台湾を代表する映画監督がキン・フー監督へのオマージュを捧げている。

キンフー監督

11世紀、宋の時代。若い学僧・雲青(シー・チュン)は、戦乱で死んだ者たちの鎮魂のための写経を頼まれる。写経に集中できる静かな場所を求め、崔という男から案内されたのは、山奥の城跡にある廃屋であった。近所に住む世話好きな王夫人は、その夜 雲青を宴席に招き、妖艶で美しい娘・楽娘(シュー・フォン)を見合わせる。酒に酔った雲青は、その楽娘と一夜を共にしてし、強引に彼女と結婚させられる。新婚生活を送っているうちに、周囲で奇妙な出来事が起こり始める。王夫人は雲青の持つ経典を盗もうとあらゆる手立てを仕掛ける。だが、楽娘は時おり現われる道士に対して 神経をとがらせつつ怖れる。ある日、崔と二人で麓の村に向かった雲青は 居酒屋に立ち寄り、酔っぱらった崔から「お前の女房は 妖怪だ」と告げられる。崔の酔いが醒めるまでの間、気晴らしに 居酒屋の娘・依雲(シルヴィア・チャン)と散歩するうちに、ようやく心も落ち着つき、清楚で可憐な彼女に親愛の気持ちが芽生えた。妻の楽娘は、夫が依雲に会ったと知るや 眉をつりあげて怒り、雲青に金縛りの妖術をかけ 部屋に閉じ込めた。崔の言ったとおり彼女は妖怪だった。雲青の託された霊界を支配できるという経典を奪おうとしていた。そうはさせまいとする道士が現れる。そして、妖怪・楽娘と対立する道士との壮絶な戦いが始まる。武器は剣ではなく、太鼓やシンバル。大きく小さくまたは軽妙に大胆に打ち続けられる音。やがて…。

cast

シルヴィア・チャン(張 艾嘉)

1953年台湾嘉義県生まれ。本籍は山西省五台県。父・張文莊は空軍将校、母方の祖父・魏景蒙は中央通訊社社長や行政院新聞局長、蒋経国時代の総統府国策顧問を務めた。小学校を香港、中学校をニューヨークで過ごす。16歳で台湾に帰国し、DJ、歌手を経て、19歳で映画デビュー。その後、香港のゴールデン・ハーベストと契約。1976年に『碧雲天』で第13回金馬奨の最優秀助演女優賞、1981年に『我的爺爺』で第18回最優秀主演女優賞、1986年に『最愛』で第23回最優秀主演女優賞を受賞している。また、1987年に『最愛』で、2002年に『地久天長』で、第6回と第21回の香港電影金像奨最優秀主演女優賞を受賞している。1978年『舊夢不須記 』を初監督、以後『果てぬ想い 醒夢季節』(92年)『少女シャオユー 』(95年)『君のいた永遠(とき)』(99年)『プリンセスD』(02年)『20.30.40の恋』(04年)『念念 』(15年)と監督、俳優として活躍。1998年『美少年の恋』では製作を担当した。最新作は2017年、映画監督ティエン・チュアンチュアン(田壮壮)を俳優として相手役に迎えて、監督主演を務めた『妻の愛、娘の時』。

シュー・フォン(徐楓)

1950年台北生まれ。両親は大陸出身。貧しい生活の中で仕事をしながらオーディションを受け、1966年に台湾の映画会社・聯邦に女優として入社し、翌67年、キン・フー(胡金銓)監督の『残酷ドラゴン 血斗龍門の宿』で脇役ながら映画デビュー。1970年には『侠女』に主演しその魅力が爆発、トップ女優としての地位を確立する。以降、キン・フー映画の看板女優として『迎春閣之風波』(72年)『忠烈圖』(74年)『山中傳奇』(79年)などの作品で活躍、1977年には『成龍拳』でジャッキー・チェンとも共演している。1976年結婚、78年離婚後80年台湾トムソン・グループ総帥・湯君年と再婚し女優を引退。その間1971年『龍城十日』で第9回金馬獎最優秀新人女優賞、 1976年『刺客』で第13回金馬獎最優秀主演女優賞、1980年『源』で第17回金馬獎最優秀主演女優賞を受賞している。1984年映画への情熱が忘れられず、映画会社・トムソン・フィルムを設立し、プロデューサーに転向。1985年には『カンフーキッド 好小子』が商業的に大当たりし、シリーズ化されるが、次第にドラマ性の高い映画を製作したいという思いを強め、『レッド・ダスト/滾滾紅塵』(90年)『ファイブ・ガールズ・アンド・ア・ロープ』(91年)などの作品を手掛けた。また、1993年には『さらば、わが愛・覇王別姫』がカンヌ国際映画祭で見事最高賞パルムドール賞に輝き、プロデューサーとしても高く評価された。近年は台湾映画のデジタル化、修復に尽力、2017年第54回金馬奨生涯貢献賞受賞。

シー・チュン(石雋)

1936年天津生まれ。原籍は河北省文安県。国立岡山高級農工職業學校卒業後、空軍軍官学校を経て、台灣大學畜牧系を卒業。薬学研究のアシスタントをしている時、友人の推薦を受けたキン・フー監督に強力に勧められ、1966年聯邦影業公司に入る。1967年キン・フー監督作品『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』に主演。この作品は、東南アジアを中心に大ヒット。このあと武侠映画が大量につくられるようになり、映画産業が活況を呈した。1970年キン・フー監督『俠女』に主演する。『俠女』は第28回カンヌ国際映画祭高等技術委員会グランプリ受賞。その後、キン・フー監督『空山靈雨』『山中傳奇』(ともに79年)作品で主演を演じる。1982年『大輪迴』で第28回アジア太平洋映画祭最優秀主演男優賞受賞。現在も俳優として活躍しながら、財団法人キン・フー監督文化藝術基金会理事長を務めて、キン・フー監督作品の保存・普及に努める。2012年第49回金馬奨生涯貢献賞受賞。2003年キン・フー監督にオマージュを捧げたツァイ・ミンリャン(蔡明亮)監督『楽日』に出演。同じくホー・シャオシェン(侯孝賢)監督がキン・フー監督にオマージュを捧げ製作した『黒衣の刺客』にも出演している。

staff

監督・美術:キン・フー(胡金銓)

脚本:チュン・リン(鐘玲)

撮影:ヘンリー・チェン(陳俊傑)

音楽:ウー・ターチャン(呉大江)

武術指導:ウー・ミンサイ(呉明才)

英 題:Legend of the Mountain

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提供・配給 オリオフィルムズ 竹書房  /  配給協力・宣伝 トラヴィス